当たり前のことを当たり前にやるだけ
「大家業で難しいことなんてほとんどない。当たり前のことを当たり前にやるだけ。」
尊敬している大家さんのブログにこのような一節があった。
読んだ時は普通にスルーしていたけれど、今日、少し意味がわかった。
不動産賃貸業をやろうと決めて今日まで、結構不動産について難しく感じていた。
不動産には物件の値段、場所、状態、その他にも考慮すべき点が山のようにある。
初心者な僕にとって、たくさんある物件の中から、自分に合う物件を探す作業はとても大変。物件によっての条件が違いすぎて、とても複雑に見える。何をどう考慮すれば正解なのかわからない。
一応、本や投資家ブログでを読んで勉強しているつもりだけれど、みんな言っていることがバラバラ。実は一貫しているのかもしれないけれど、今の僕にはバラバラに見える。
学校の勉強のように「とりあえず範囲はここまでだから、このドリルをやればいい点が取れるよ!」というのもない。
今の仕事のように「お前の仕事はここからここまでだ。わからないことはここから調べるか、先輩に聞け」と教育が体系化されている訳でもない。
広大な海にパッと放り投げ出されて、「南の島まで来てね!」と言われているような気分だ。
学校の勉強や大企業の社員育成プログラムはなんと恵まれているのだろうと思った。優しい。バカな質問をしても怒らない先生もいる。ぬるゲーだ。
不動産業界の先輩にバカな質問なんて絶対にできない。僕は絶対にしたくない。
僕にとってそれは、野球の練習をしていない人が、プロ野球選手に「野球を教えてください」と言っているのと同じなのだ。
過去の先輩たちはこんな、何をどうしていいかわからない物事を一つ一つくぐり抜けて来られたのだろうか。
そう考えると、才能の差みたいなものを感じられずにはいられなかった。
弱気である。
一方で、
「僕でさえ、こんなに困っているのに、あんなに大勢の人たちが大家として成功できるはずがない。何か隠された秘密があるはず!」
と、意味不明な自信はいつも持ち合わせている。
過去記事にも書いたように、まずは本を100冊読むことを目標にやっている。
今、50冊くらいだろうか。
ぶっちゃけもういい気がして来た。もちろん、勉強は続けるが。
手当たり次第に本を読んでわかったのは、僕らが目指すのは、「南の島」もあれば、「北の島」「西の島」「東の島」というふうに到達点は一つではないということだ。
そして、同じ「南の島」に行くにしても、平泳ぎで行くのか、クロールでいくのか、はたまた犬かきでいくのかというように、アプローチの仕方にも違いがあることがわかった。
本を数十冊読んでわかったのはそういうアバウトなことだ。
これだけではまだ全然足りないのだ。
じゃあ実際に、クロールでいこうと決めても、クロールの仕方を知らないのである。
ここで僕はまた困る。途方に暮れる。
一体、何をどういう風にやればいいんだ!!?
こんなふうにここ最近、ずっとモヤモヤしていた。
僕は甘いのだ。
はっきりと誰かに
「お前はこの物件を買って、これこれこういう風にするといいよ」
と全てを一から十まで指示して欲しいんだろ?
全く、糞食らえだ。
そういうのが嫌で、勤め人を卒業しようと決めたのに。
都合の悪い時ばかり「俺に指図するな」と文句を言い、都合のいい時は「どうか手取り足取り教えてください」と指示を仰ぐ。
自分で考えたくないだけだろ。
そんな自分は一生勤め人をやっていればいい。
今の僕は、 「自分でやる」「自分で背負う」という勤め人卒業のマインドとはかなり程遠い。(僕は「勤め人卒業」にかなり高尚なイメージを抱いている。)
このままではまずいと思い、もう一度、自分はどうすれば南の島にたどり着けるのだろうかを考えた。
まず、できることを洗い出した。
・本を読む
・ブログを読む
・わからないこと(言葉、仕組み)をネットで調べる
・先輩大家のおリフォームの手伝いをさせてもらう
・セミナーに参加する
・毎日不動産サイトをチェックする
こうして書き出してみると、できることはたくさんあるのである。
これらをとことんやりもせず、
「いい物件は裏ルートで手に入る。だから僕のようなところに回ってくるはずもない。そのせいでうまくいかない」
なんて風に考えていた。
本を読み漁っても、
「もっと理解を深めなければいけない。たくさんの知識を得なければいけない。僕には知らない何かとっておきの情報がどこかにあるはず」
と、焦りが増えるだけだった。
どれだけ読み漁っても、全てを手取り足取り教えてくれたり、運んでくれる正解なんてないのに。
そんな解を探しては、「まだ見当たらない」と一人絶望していた。
今冷静に振り返ってみると、この思考こそが凡人だ。
「バカは簡単なことを難しく考える」
まさしくこれである。
今考えると、難しいことは何もない。
僕は「やること」をフローチャート式にリスト化した。
物件探しフローチャート
朝起きたら、昼休み、夜仕事から帰ったら
1、物件チェック
↓ 値段100万〜200万のボロ戸建て
2、路線価チェック
↓ 売値よりも積算評が高い!
3、仲介業者に電話
・売主の情報
・物件の状態
・指値はどれくらい効きそうか
・便所は汲み取りか、前面道路に下水はきているか
・雨漏りの有無
↓ 悪くない!
4、アポ日を決める
↓
5、アポ当日、理由をたくさんつけて指値する
・残置物処理
・ブッロク塀解体費用(駐車場作り)
・壁紙、床、天井リフォーム費用
↓
6、買い付け
↓
7、融資申し込み
休日、空いた時間
・読書
・ブログ
・地域の不動産サイト
・リホォームのお手伝い
しばらく一個めを買うまでは、ひたすらこのフローを繰り返すだけである。とことん機械的に。
何か条件が悪くうまくいかなければ、次の日からまた同様に1(物件チェック)に戻り、再スタートするだけ。
これなら簡単。バカな僕でもできる。
いい物件があれば電話して、中を見させてもらって、買い付けを入れる。
こんな単純なこと、誰にでもできる。
そうしていく中でわからないことが出てこれば、本を読むなり、ネットで検索するなりしていけばいい。
わからない言葉を調べるというのもごく当たり前な話だ。
凡人はそれをすぐに複雑に考え、錯覚して難問と考える。
俺もそのバカの一人だ。
僕はもともと、楽が好きなサボり屋。
今回は「どうすればもっと楽に努力できるか」という思考を手に入れることができた。
「努力=きついもの」という考えがゴミ。楽して努力しよう。
そして、物事を単純にしよう。
難しかったら、誰にでもできることをやろう。